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昨年秋以降、子宮頸がんを巡る公的制度が大きく変化している。情報に踊らされず、正しい判断をするためにも、新たな制度についてきちんと知っておきたい。今回は、新たにワクチンの公費負担を開始した静岡市を例に紹介する。

★この特集は「アステン」(静岡新聞社刊)2011年3月号に掲載されました。

昨年11月、「子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案」が国会を通過し、国としての取り組みが本格化した。中でも注目を集めたのは、子宮頸がん予防ワクチン接種への公的助成だ。
 このワクチンは子宮頸がんを引き起こすとされるヒトパピローマウイルス(HPV)の16型、18型への感染を予防するもので、子宮頸がんの発症を減らせると期待されている。しかし半年かけて3回接種しなければならないことと、接種費用が1回当たり15,000円〜20,000円という高額な費用がネックとなって接種が進んでいない。そのため、一部自治体では独自の制度をつくり、全額または一部助成を行っていたが、ついに国がこの問題に取り組むこととなった。各都道府県にワクチン接種緊急促進基金を設置し、交付を行う。各市町村はその基金より助成を受け、接種の公費負担をするという仕組みだ。

接種対象となるのは、自治体ごとに設定できるため異なるが、基本的には中学1年から高校1年までの女子。静岡市では、先月1日からスタートし、対象者は契約医療機関で無料接種することができる。また、既に数回接種済みの場合も、この期間内で接種する分については同様に費用が免除となる。ただし、接種した分については、さかのぼっての請求はできない。
 また、事情により市外で受ける場合は、事前に静岡市保健所に問い合わせれば無料になることもあるので、必ず確認した上で接種したい。

 このように、接種を促す政策が進む一方で、考えておかなければならないのが、接種によるリスク。海外での実績はあるものの、日本でこのワクチンが認可されたのは、ほんの1年余り前。子宮頸がんはウイルス感染から数年〜10数年たたないとがん化しない。そのため、臨床試験等で高い効果が期待されているものの、実際にどの程度がんが防げたのかという実証はまだされていない。また、接種による副反応の可能性もある。主なものはかゆみや接種部分の痛み、発疹、じんましん等だが、接種時の痛みによる失神も報告されている。まれにアナフィラキシー様症状が現れる可能性もあり、注意が必要だ。
 このワクチンによる健康被害が起こった場合、麻疹、ポリオ等の法定予防接種に適用される予防接種法に基づく救済制度は適用されない。万一の場合は医薬品による健康被害の救済等を行う医薬品医療機器総合機構による救済制度と各自治体が加入する保険によって救済の給付が行われることになるが、その内容は必ずしも法定の予防接種と同等とはいえない。手続きも煩雑となる。
 だからと言って、このワクチンは危険、ということではない。これらの副反応は、他の予防接種でも起こりうるもので、子宮頸がんワクチンがこれらに比べて特別重い副反応をもたらすというわけではない。また現在のところ、国内で重篤な健康被害は報告されておらず、むやみに副反応を恐れる必要もない。
 むしろ、ワクチンを打ったからと安心してしまい、検診に行かなくなることの方が大きな問題だ。あくまでも子宮頸がんの一部を防げるということであって、ワクチン接種が子宮頸がん検診に行かない免罪符とはなりえない。まだまだ20%程度という低い検診受診率を上げることは、引き続き重要な課題の一つとなっている。
 大事なのは、接種によるメリット・デメリットを理解し、自らが判断すること。そのための情報は各自治体でも用意している。接種はあくまで任意。十分に情報を得た上で、自分にとって最善の選択をしたいものだ。

 

アステンでは子宮頸がん啓発キャンペーンの一環として、シリーズで子宮頸がんについて紹介してまいりました。今回をもってこの企画は終了となります。

 

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